だいじょうぶだいじょうぶ
作・絵 いとう ひろし (講談社)
大好きなおじいちゃんとの毎日の散歩。それは、ぼくにとってこの上なく楽しい時間。
けれども世界はいつでもきらきらと優しいだけのものではなくて…。
成長とともに子どもが感じ取るさまざまな不安。その不安のほとんどは、目には見えず、手で触れることも出来ない、なんとも収まりの悪いもの。
たとえば、飛行機は空から落ちることがあるかもしれない、とか
あちこちに恐ろしいばい菌がうようよしているらしい、とか
わけもなくぼくをぶってくるお友達がいる、とか
いくら勉強しても読めそうにもない字がそこここにあふれている、とか…
『なんだか このまま おおきく なれそうに ないと
おもえる ときも ありました』
不確かで予想のつかないこと。この先どうなるのかわからないという不安。それって実はおとなだって恐れているもので…。
そんな底知れない不安をとりのぞいてくれる、おじいちゃんの魔法の言葉。
『だいじょうぶ だいじょうぶ』
先の見えない今の時代、私たちが欲しているのもこの「だいじょうぶ」という魔法の言葉なのかもしれません。
でも、本当に大事なのは魔法の言葉を持つことじゃなくて、そばにいて手を握り、「だいじょうぶ」と言ってくれる存在がいるってこと。
あるいは、誰かのためのそういう存在になるってことなんでしょうね、きっと。
そんな、深い感慨をあたえてくれる絵本です。