今月のおすすめ絵本

フェルメール この一瞬の光を永遠に
 文・キアーラ・ロッサーニ  絵・アンドレア・アレマンノ (西村書店)
光が織りなす一瞬にして移ろいゆく美を、キャンバスの中に閉じ込めて永遠のものにする―――そんな無謀な試みを成し遂げてみせた画家、フェルメール。
彼の生涯は謎に包まれていて、詳しいことはほとんどわかってはいません。わずかに残る記録と、彼が描き残した35枚の絵画からインスピレーションを受けた作者が、フェルメールの画家としての生涯に思いを馳せつつ、ひとつのフィクションとして書き上げた物語がこの本です。
絵本にしてはなかなかの文章量で、かなりの読みごたえがあります。が、光の美しさに取りつかれ、それを描き出すことに心血を注いだフェルメールの生きざまや、当時のデルフト(オランダ、17世紀)の生活の様子が、まるで史実のように生き生きと描き出されています。彼の絵の中に流れる静謐さ、庶民の日常をテーマにしつつもどこかしら漂う気品、それらが一体どのようにして生み出されていったものなのか、作者と一緒にあれこれ想像をめぐらせてみるのも楽しいかもしれませんね。
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