ひばりに
詩・内田麟太郎 絵・うえだまこと(アリス館)
ぼくには ことばがない
きみに かける ことばがない
東日本大震災をきっかけに子どもたちのために書かれた詩ということですが、そういった背景にかかわらず、今現在何かに打ちひしがれている人を前にして、己の無力さを噛みしめているすべての隣人の心情を代弁している詩に思えます。
傷ついている人に寄り添うのは本当は至難の業。覚悟が問われる。
それでも、もがいてもがいて失敗を重ねなければ風は起こらないのだ。「きみの いのちが じぶんでこしらえた ちいさなかぜ」は。
そんなことを思いながら、折れそうな心をなんとか立て直してみようとしている自分に気づく。
深い内省を促される絵本です。