かさじそう
再話・瀬田貞二 絵・赤羽末吉 (福音館書店)
赤羽末吉さんが絵本画家としてデビューしたのは50歳の時。この「かさじぞう」が彼の最初の作品です。にじみやかすれのある独特の線は、時に水墨画のようでもあり、どこか湿り気のある日本の雪国の様子を見事にあらわしています。
文章は語り口調で、そのせいか読み手も聞き手も物語の中にすっと溶けこめる気がします。それに言い回しがユーモラス。「ゆきが もかもか ふってきた」とか「すっぽりめしを さくさく たべて」とか、「のっこのっこと かえっていったと」などなど、読むだけでも楽しい気持ちになりそうな、リズム感にあふれた語り口。昔話とは本来、語られるものだったのだということを、しみじみと感じさせてくれます。
小さなお子さんたちに読み聞かせるのも楽しいですが、ぜひ一度、ご自分自身のために、声に出して読んでみてください。“語り”のたのしさに引き込まれてしまうこと、請け合いです。