木のすきなケイトさん
文・H.J.ホプキンズ 絵・J.マケルマリー (BL出版)
1860年代は、女の子は手の汚れる遊びをしてはいけないとしつけられていた時代、そして女の子は科学の勉強などしなくていいと言われていた時代。けれどもケイトは木が大好きで、木や土や植物などについての勉強が大好きでした。彼女は勉強を諦めず、やがて1881年、カリフォルニア大学をはじめての女性科学者として卒業します。
ところがその後ケイトが教師として赴任した町サンディエゴは、木のほとんどない砂漠の町だったのです…。
この絵本の副題は「砂漠を緑の町にかえた ある女のひとのおはなし」。ケイト・セションズという実在の女性のお話です。
サンディエゴにも木や森が欲しいと考えるケイト。町の皆が「ここに木なんか育つはずがない」「砂漠で生きられる木を見つけるなんて無理」と口をそろえる中、ケイトは信念を持って、この町を緑の町に変えていこうと奮闘します。やがてケイトの熱心な働きは町の人々を動かし、町全体の風景を変えていくことになっていくのです。
ケイトの熱意、決してあきらめない気持ちは、一体どこから出てくるのでしょう?きっとその答えはこの絵本の表紙にあるような気がします。
木が好き。木はいいなぁ。
そんな心の声が聞こえてきそうな、森の中でくつろぐ幸せそうなケイトの姿。単純明快な「好き」という気持ちこそが、ケイトの原動力だったのかもしれませんね。