きっと きこえるよ
文・藤原 美香 村本 美香 絵・瀧川 裕恵（wmika）
―――伝えたいことがあるんじゃ―――
老いた身体を精一杯に傾けて、
広島の街の、とある一点を指し示し続ける樹木たち―――。
「被爆樹木」と呼ばれる木が、広島にあります。
8月6日のあの惨事を生き延びて、
今もなお、広島の街を見守り続けているおよそ160本の樹木たち。
その中に、奇妙な傾き方をしているものが何本かあります。
不思議なことに、
彼らは皆一様に、『ある場所』に向かって幹を傾けているのです。
種類も、樹齢も、生えている場所も、皆バラバラなのに。
まるで、四方八方からそこへ向けて手を伸ばそうとでもするかのように。
動かぬ身体に鞭打って、そこへ向かおうとでも言うかのように。
原爆の惨状とその後の街の復興を知る被爆樹木たち。
老いたその木が語り手となって、
あの日のこと、その後のこと、これからのことを、
子ども達にゆったりと語りかけてくれます。
『きっときこえるよ』は
広島市内の小学校で読み聞かせ活動をしている主婦の方お二人が、
長い長い時間をかけ、ゼロから作り上げた素敵な絵本です。
イラストは、広島市在住のプロのイラストレーター
瀧川裕恵さんが手掛けられました。
のびやかに枝葉をひろげる樹木の緑と、柔らかい木漏れ日の光の色とが、
木々たちの優しい気持ちをそっと浮かび上がらせてくれています。
今を、そしてこれからを生きる子ども達に、
忘れてほしくない大切なこと。
物言わぬ彼らの声なき声に、静かに耳を傾けてみませんか。
絵本『きっときこえるよ』は
平和記念資料館内売店、平和記念公園レストハウス売店、
または下記のサイトから購入することが出来ます。
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