ねことことり
文・たてのひろし 絵・なかの真実 (世界文化社)
本来なら交わることのない世界に暮らす猫と小鳥が、ひょんなことから出会い、互いを認め合い、かけがえのない友人になっていく様子が細やかに描かれます。
何か事情を抱えているらしい相手のことを深く詮索したりせず、ただ思いやりとリスペクトを持って歩み寄っていくその距離感が心地よい。
何より美しい細密画に全ページ目を奪われっぱなしです。ことに画面いっぱいに咲き乱れる花々の壮麗さといったら―――香りまで漂ってきそうな気がします。
そして“香り”もまた、彼らの心をつなぎあわせる大事なキーワードになるのですが…。
なかの真実さんが描く、リアルで繊細で柔らかくてあたたかい世界。
何通りもの香りを感じられる世界です。どうぞ隅々まで眺めてじっくり堪能してください。