今月のおすすめ絵本

虹伝説

 作・ウル・デ・リコ  訳・津山紘一(小学館)

1981年、ギタリストの高中正義氏がこの絵本からインスピレーションを受けて制作したのが、彼の7枚目の音楽アルバム『虹伝説 THE RAINBOW GOBLINS』でした。

アルバム発売に合わせて絵本の日本語版も発売された為、当時、高中正義ファンの方々はこぞってこの絵本を手に入れ、高中氏の音楽を聞きながら絵本をめくるという楽しみに浸っていたのです。 (私の兄もそうでした。)

物語は虹の色を吸い尽くして食べてしまう鬼(ゴブリン)たちが、虹が生まれる谷を目指して旅に出るところから始まります。その絵の壮大さ、緻密さ、そして時にサイケデリックな様相を見せる色の洪水は強烈です。ことに鬼たちの末路を描いたシーンは見ているこちらまで眩暈がしてきて溺れそう。

そんな禍々しさとは裏腹に、地面から虹が立ち上がる瞬間の何と美しいこと。約40年前に読んだきりなので内容のほとんどを忘れていましたが、虹が生まれる瞬間の絵だけははっきりと覚えていました。今読み返してみても惚れ惚れするほど美しい、そしてどこか怖いような絵本なのです。

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