今月のおすすめ絵本

さくら

 文・長谷川摂子  絵・矢間芳子 (福音館書店)

『かがくのとも絵本』のシリーズはなかなか馬鹿にはできないシロモノです。子ども向けと思って甘くみてはいけません。対象を精密に描写しつつ、かつ正確な科学的知識を嫌味にならない程度にそっと教えてくれます。

この本もそう。1本の桜の木が、春夏秋冬という季節の流れの中でどのようにその姿を変えていくかを、細部と全体とを交互に描きながら見せてくれます。

花びらが散り落ちたあとの初夏の青葉、秋の紅葉、そして小さな冬芽を枝の先に抱いた裸の桜。厳しい寒さにじっと耐えれば、やがて再びめぐってくる花の季節。

語り手は桜の木。おおらかな優しい口調は声に出して読むと耳に心地よく、何度でも読み返したくなります。表紙だけで、お花見に出かけた気分になれそうですね。



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