今月のおすすめ絵本

3びきのくま
 文・トルストイ 絵・バスネツォフ (福音館書店)

トルストイ(文)とあるのでロシアの昔話かと錯覚しがちですが、『3びきのくま』(あるいは『ゴルディロックスと3びきのくま』)はイギリスの童話です。しかも元の話ではくまの家にやってくるのは女の子ではなく老婆だったというのだから驚きです。長い年月を経て語り継がれていくうちに、老婆が「シルバーヘアー」という女の子に、やがて「ゴルディロックス」(金髪)という名の女の子へと変わっていったとのこと、昔話にはありがちな変遷なのかもしれませんね。

三者三様のセリフが毎度毎度繰り返されるというお決まりの王道パターンが子どもたちを夢中にさせるようです。そういえば『三びきのやぎのがらがらどん』もそうでした。

それにしても、この尻切れとんぼ的な終わり方ときたら。幼い頃には大好きだったはずのお話なのに、今読むと「何じゃこりゃ?」「え、それで?」となってしまうのは何故なのでしょう。多分、無意識のうちに、お話の底に何らかのメッセージを読み取ろうとしてしまうせいで、肩透かしをくらった気持ちになるのかもしれません。

童話は楽しければいい。アレコレかこつけたりこじつけたりせずに、お話のリズムやシチュエーションを、流れのままに楽しんでみたいものですね、幼い子のように。

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