今月のおすすめ絵本

サンタクロースっているんでしょうか?
 文・ニューヨーク・サン新聞社説 絵・東逸子 (偕成社)

信じるって、難しい。

大人になると、それがよくわかります。

信じるのは忍耐の要ることで、常に疑いの気持ちと背中合わせ。むしろ疑いの気持ちを横目で見ながら、敢えて信じることを選択しているとでも言うのでしょうか。

そういうことが、だんだんと増えてくる気がします、大人になると。

 

何ら根拠のない事柄すら、いとも簡単に信じることができた子ども時代。その世界に小さなひびが入るのは、いったいいつ頃なんでしょう。何がきっかけとなるのでしょうね。

そして、その小さなひび割れの隙間から、懸命に世界を覗こうとする子どもの前で、大人が出来ることは何でしょう。

 

『サンタクロースってほんとうにいるんでしょうか…?』

今から130年近く前、アメリカのとある新聞社に宛てて出された八歳の少女からの手紙。

その返答として掲載された当時の社説は、今もことあるごとに各地で読み継がれています。

執筆したフランシス・チャーチは、手紙への返事を社説として書いてみないかという編集長からの提案に、当初はひどく面食らったようです。それはこの問いが、いる・いないの二元論的な答えで済むものではなく、小手先の嘘で誤魔化せるものでもないと感じたからではないでしょうか。

 

本当に確かなものは目に見えない。では見えないものを確かめるにはどうするかーーー。

誰もが生まれながらにして知っていたはずのその方法を、何とか思い出し、試みようとすることこそが、大人に出来る精一杯なのかもしれませんね。

 

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