スイミー
作・レオ・レオニ （好学社）
スイミーはちいさなさかな。他の兄弟はみんな赤い色なのに、スイミーだけはからすがいのように真っ黒です。ある日、大きなまぐろに仲間をみんな飲み込まれてしまったスイミーは、海の中でひとりぼっちになってしまいます。
物語の前半は、スイミーが広い海の底を旅しながら見たことのない生き物や植物に出会う過程が丹念に描かれます。それはまるで、この世界の途方もない大きさと、ちっぽけな自分の存在とを確認していく過程のよう。次第にスイミーを突き動かすものは、ひとりぼっちでいることの怖れや寂しさではなく、湧き出るような興味へと変わっていきます。知らないことだらけの世界に対する尽きることのない興味...。やがてスイミーは、この広い世界でちいさな仲間たちと生きていくための自分の『役割』を見つけ出すのですが...。
涼しげな色合いが、梅雨時や猛暑時のじっとりと不快な気分を忘れさせてくれますよ。
