ちいさなもののいのり
文・エリナー・ファージョン 絵・エリザベス・オートン・ジョーンズ(新教出版社)
「かみさま、どうぞ ちいさなものたちを おまもりください。まだ はねのはえていない ひなたちを。おおきくなって つばさを ひろげ おおぞらを おもいのままに とべるまで。」
こんな出だしで始まる、とても可愛らしいお祈り。小さな種、小さな雨粒、生まれたばかりの子羊たち…。お祈りは、そんな小さなものたちすべての行く末を案じ、無事大きくなるまでお守りください、と続きます。
この絵本が世に出たのは第二次世界大戦が終わる年、1945年。幼い子どもというものは、誰よりも敏感に社会全体の不安を感じ取るものです。ざわざわと不安定な日々に揺られながら過ごしている子どもたちに、ふわりと優しく寄り添えるように…。そんな作者の祈りが、この絵本に込められているような気がします。
出来ればそっと声に出して読んでみて下さい。一番尊いものは何なのか、沁み入るように響いてきます。本当は、大人のためのお祈りなのかもしれませんね。