今月のおすすめ絵本

とべ バッタ 

 作・田島 征三 (偕成社)

まずこの力強い表紙の絵に目を奪われます。荒々しくて、一見、粗野にも見える絵と題字。中身の文章もとても力強くて、ぐいぐい引き込まれてしまいます。

内容は意外にもちょっと哲学的なのです。小さな茂みの中で暮らす小さなバッタ。まわりには、バッタを狙う恐ろしい敵がいっぱいです。バッタは毎日、いつ命を取られるかとビクビクしながら暮らしていたのですが、あるとき、こんな狭い小さな世界でおびえながら生きていくのがつくづく嫌になりました。

「そして ある日 バッタは けついした。」

新しい世界に、自分の力で飛び立つんだ、と決意したバッタの、その後の死にもの狂いの孤軍奮闘ぶりは、読んでいてハラハラドキドキの連続です。でも自分の力で自分の行きたいところへ飛んでいくバッタの、なんて嬉しそうなこと。

少し元気をなくしたとき、この絵本を手に取ってみて下さい。少しだけ、勇気が湧いてくるかもしれません。

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