ゆきのようせい
作・松田奈那子 監修・石黒誠 (岩崎書店)
“ゆきむし”をご存知ですか?体長わずか5ミリ程度の、全身が綿で包まれたように見える小さな虫。秋が終わり、雪が降り始める前に飛び始めるため、冬を告げる虫とも言われます。
さて、主人公のゆきむしは、少しばかりおっちょこちょいで仲間に出遅れてしまいます。それでも、森に棲む生き物たちに冬の訪れを知らせようと張り切って飛ぶのですが…。
誰かの役に立ちたいと思っているのに、タイミングが悪くて空回りすると、やっぱり心は少しブルーに…。別に見返りを求めるわけではないけれど、でも「役に立てた!」と自分で感じられる何かが欲しい。そんなとき、相手からのほんの一言が、一瞬にして自分の心を満たしてくれたりもするもので。
最後のページ、仕事を終えて仲間のもとに戻ったときのゆきむしの表情を存分に堪能してください。あの表情が、大事なことをすべて物語っている気がします。